ストーリー

あらすじ

「ねえ、蒼空」
「送り人って、魂人にとっての保健の先生なのかもしれないわね」

風見蒼空は、麦わら帽子を首に下げ、いつもシャボン玉を吹いている少女、シロバナと一緒に魂人(たまびと)を送るための旅を続けている。
魂人とは俗に言う幽霊のことであり、蒼空のような魂人を送る者たちのことを、一部の間で送り人(おくりびと)と呼んでいる。

蒼空には目的があった。
それは、過去に命を落として魂人となり、今は行方不明となっている姉を探し出すこと。
親代わりに育ててくれた最愛の姉を、自らの手で幸せに送り還すことだった。

そして、この春。
蒼空とシロバナは、旅の途中で彩香町(さいかちょう)を訪れる。
タンポポ畑と天然温泉を観光資源としている、のどかな田舎町。
この町には多くの魂人が集っているのだと、知人から教えてもらった。
その魂人の中に、もしかしたら姉がいるかもしれない。
蒼空は温泉宿に泊まりながら、滞在費を稼ぐために送り人の技術を活かし、知人が学園長を務めている彩香女子学園(さいかじょしがくえん)で臨時の養護教諭として働くことになる。

保健室の先生として、女学生たちと触れあいながら。
カウンセリングの一環として、親身に悩みを聞きながら。
蒼空は、相棒のシロバナと共に、学園で起こる様々な事件を解決することになるのだった。

タンポポの花言葉は、真心の愛。
そして、別離————

ストーリー

用語解説

魂人(たまびと)

幽霊のような存在。
魂人は通常、人の目には映らない。
だが、長く現世に留まっていると、姿が見えるようになる。
魂人は生前の記憶を忘れている場合が多く、そのため自分を普通の人間だと勘違いしてしまうことがある。
人間たちと共に暮らしていた魂人が還ると、神隠し(かみかくし)と呼ばれることがある。

送り人(おくりびと)

魂人を送り還すことを生業としている者。
送り人の存在は世間一般には伝わっておらず、魂人の存在もまた知れ渡っていない。
公にはなっていないが、国家公務員のひとつに数えられている。

奇跡(きせき)

魂人が持つ不思議な力で、自然現象を操ることができる。
操作できる自然現象の種類は、魂人によって異なる。
生前に叶えられなかった心残りによって、その種類が決まると考えられている。

捧げ物(ささげもの)

魂人が奇跡を使うために、事前に捧げる行為のこと。
捧げ物の種類は、総じて本人の嫌いな行為であり、生前のトラウマが関係していると考えられている。

流派(りゅうは)

送り人には、全10種の流派がある。
「榊(さかき)・幣(みてぐら)・杖(つえ)・篠(ささ)・弓(ゆみ)・剣(たち)・鉾(ほこ)・杓(ひさご)・葛(かずら)・無採(むとり)」
流派によって魂人に対する考え方が変わり、魂人を送るための神具や祭具、方法も変わることになる。
そのため、友好関係にある流派、敵対関係にある流派など、送り人の間では派閥争いが存在する。

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